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2018/11/29 木曜 法人化後の2代目学長(中)
法人化後の2代目学長(中)

by larghetto7 | 2018-11-29 18:28 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/27 火曜 根津美術館に行く
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 本日,カミさんと一緒に根津美術館に出かけた.
 本日出かけるという話であったと昨日,カミさんが言う.では東京都庭園美術館と松岡美術館に行こうか,と思ったが,話し合いの結果,根津美術館になった.
 根津美術館は根津にある,と私は思っていたが,そうではないと先年認識した.教養学部の野村先生がサマープログラムの外国人学生を根津美術館に連れて行ったので,そのことを知ったのである.日本コンテンツの美術館であるらしかった.
 根津美術館は地下鉄の表参道駅の近くにある.表参道駅は青山学院に授業をしに行ったときに使っていたから,その界隈には土地勘があるが,駅から行ったことがない方角にある.
 最寄り駅の東武線に乗ると,東武線は途中から地下鉄半蔵門線になり,乗り換えなしで表参道駅に行くのである.今回も東武線-半蔵門線で乗り換えなしで表参道駅にたどり着いた.美術館のアクセス情報をもとに,A5の出口から外に出て,10分くらい歩くと根津美術館が見えてきた.埼玉の田舎から突然その辺りに行くと何とも都会に出た気分になる.
 中に入って展示室を回った.大きな美術館ではない.特別展示が「新・桃山の茶陶」であり,織部あたりを中心に茶器の展示があった.私には茶器がどうのというのは分からない.解説によると,京都での新たな発掘によって,桃山時代から織部が切腹して死ぬ10年後くらいまでに,京都三条に瀬戸物屋町が栄えたそうで,その出土品によって当時の茶陶の生産と流通の様子が分かってきたらしい.そういう話を見るとなるほど,こういう展示の世界も日々進歩しているのだなと分かる.
 私が面白いと思ったのは,たぶん常設展示であるが,殷周時代の中国の青銅器である.ここのチケットのデザインにもなった双羊尊という容器などはユーモラスで面白い.観ながら,この時期の青銅器のデザインが何やら,メキシコとかアンデスのデザインに似ているような気がした.アジア人が米大陸に渡ったのだから,東洋と似たような感覚を持っていても不思議はないのではないか,という気もする.
 美術館内を見終わった後に庭園に出た.今が紅葉の盛りであるから,庭園を見るのは悪くない.もっとも,私は紅葉はあまり好きではない.春から夏の緑の方が好きである.
 庭園内にあるNEZU Cafeというカフェに入って,本日のパスタ+コーヒーを2人分頼んで食べた.帰りがけに Museum Shop で絵葉書だけを買った.帰りも半蔵門線-東武線の乗り換えなしである.

by larghetto7 | 2018-11-27 21:32 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/25 日曜 法人化後の2代目学長(上)
法人化後の2代目学長(上)

by larghetto7 | 2018-11-25 18:22 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/20 火曜 シェイクスピア 『ペリクリーズ』
 BBCによるシェイクスピア戯曲シリーズDVDの『ペリクリーズ』を観た.このところ観ている同シリーズの作品同様,浅学寡聞にしてこのような題名の作品がシェイクスピアにあることを私は知らなかった.ストーリーについては no idea のまま観たけれど,面白かった.

 この芝居の筋はギリシャ神話のようである.物語の場所はシリア,レバノン,小アジア辺りで,おそらくは古代ギリシャの都市国家のような国々という想定だろう.今ではレバノンに属するタイア(ティルス)の領主のペリクリーズが主人公である.ペリクリーズは英字表記のPericlesの英語読みであり,ローマ字読みにするとペリクレス,つまり古代ギリシャの著名な政治家と同じである.そのペリクリーズが大国アンタイオクの王アンタイオカスの美しい姫に求婚するため謎解きに挑むが,結果として王と姫が近親相姦している秘密を知るに至り,危険を察知してタイアに逃げる.秘密を守ろうとアンタイオカスはペリクリーズに刺客を送る.
 ペリクリーズは戦争になるのを避けようと船旅に出る.ペリクリーズにはその旅で数々の苦難が降りかかるが,ペンタポリスという国でその王の姫タイーサを妻にする.その後,タイアに戻る途中で妻は娘マリーナを産んで死んでしまう.娘はターサスの太守に預けるが,育った後にやはり死んだと告げられる.ペリクリーズは意気消沈し,王でありながら生ける屍のようになるのである.
 その後,ペリクリーズを乗せた船団がミティリーニに立ち寄る.そこでペリクリーズは死んだはずのマリーナと奇跡の再会を果たす.そしてダイアナ神の導きでエフェソスのダイアナの神殿に赴くと,神殿で巫女をしていた妻のタイーサとも再会し,娘のマリーナはミティリーニのイケメン太守ライシマカスと結婚し,大団円で劇は終わる.まさに波乱万丈,最後はハッピィエンドの物語である.
 謎かけ,近親相姦,苦難の遍歴,運命による翻弄,不義の王と娘への神罰,最後に神が出て来る,といったところがギリシャ神話のようだと感じさせる.しかし,この戯曲のネタはギリシャ・ローマに遡る訳ではない.ジョン・ガワ―(John Gower)という英国の詩人による『恋する男の告解』の挿話であるそうだ.ガワ―はリチャード二世とヘンリー四世の時代の宮廷詩人で,王の求めでこの著作を書いたらしい.この戯曲の中でそのガワ―が解説者として出てきて筋の説明をするのである.

 この作品はそれまでのシェイクスピア作品と異なるとよくいわれる.従来の喜劇や悲劇ではなく,「ロマンス劇」という範疇に入るという説がある.この「ロマンス劇」が他の作品とどれほど違うかは,私にはよく分からない.ロマンス劇に入るのは,少なくとも,この『ペリクリーズ』,『シンベリン』,『冬物語』,それに『テンペスト』であり,私が観たのは『ペリクリーズ』と『テンペスト』だけである.後の2作品を観てから考えてみたい気がする.明確に『ペリクリーズ』が従来の作品と違うと私が思うのは,通常の喜劇,悲劇は短時間に起こる物語の劇である点だろう.例えば『ロミオとジュリエット』は全期間が7日の物語である.『ペリクリーズ』はそれに対し,娘のマリーナが育つにも16,7年はかかるだろうから,少なく見積もっても時間の経過は20年はあるだろう.『テンペスト』の方も,劇自体は短時間の話であるが,主人公のプロスペローは追放されて12年島暮らしをし,機会を待っていた.だから相当な時間の経過がある,長い歳月を経る波乱の物語,ということが重要な点かも知れない.それだけ長い話なので,『ペリクリーズ』ではガワ―を登場させて筋を説明しないと分からない,ということのように思う.

 「ロマンス劇」とはいうが,この戯曲は従来の喜劇作品と似た面がある.よくいわれるのは『間違いの喜劇』である.『間違いの喜劇』もなぜか,舞台はエフェサスであり,別れ別れになった家族がエフェサスで再会する物語である.双子の息子を探す父親の妻がエフェサスの尼僧院の院長になっていたが,『ペリクリーズ』の妻タイーサが巫女をしていたのとその点でも似ている.
 しかし,決定的に違うのは,家族を亡くした悲痛さの演技が『ペリクリーズ』で強い点だろう.『間違いの喜劇』の父親も不明になった息子たちや妻を探して遍歴を重ねて絶望し,再会できたときはひどく喜ぶ.が,『間違いの喜劇』の劇としてのポイントは間違いのおかしさ,主人と従者の間のドツキ漫才のようなやりとりの妙であり,父親の悲痛や喜びはクローズアップさせない.他方,ペリクリーズは娘の死で消沈して悲痛な姿になり,娘と再会する場面は,ここまで私が観たシェイクスピア劇の中でも最も感動的な名場面なのである.主役のMike Gwilym が名演技を見せる.『ペリクリーズ』には漫才のような要素は,ない.
 その他,似たところというと,娘を才女と描き,婿選びの趣向を導入している点で,『ヴェニスの商人』のポーシャの話と似ている.また,ペリクリーズがペンタポリスで槍の試合に出て王の娘の注目を集める次第は『お気に召すまま』のようであり,流れ着いた先で王侯に気に入られるストーリーは『十二夜』と似ている気がする.つまり,従来とは違う要素もあるけれど,それまでのシェイクスピア劇のネタを結構使って(ないしは同じ発想で)出来上がっている面もあるように思う.
 もっとも,他のいくつかの作品がそうであるように,この作品は他の作家(ジョージ・ウィルキンス)の作にシェイクスピアが加わって出来上がったものだそうだ.

 この作品でペリクリーズを演じるのは,同シリーズによく出て来る Mike Gwilym である.話し方にも顔にもクセがある.この役者さんは同シリーズを観て最も印象に残る一人である.また,たぶん最も出演回数が多い Trevor Peacock がポン引き役で出ていたのには驚いた.

by larghetto7 | 2018-11-20 23:50 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/17 土曜 人は何といってグローバルを嫌がったか
人は何といってグローバルを嫌がったか

by larghetto7 | 2018-11-17 18:55 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/12 火曜 サンシャイン水族館
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 本日,思い立ってカミさんと一緒に池袋のサンシャイン水族館に出かけた.

 最初に水族館訪問をしてゆくことを考えたとき,まず頭に浮かんだのはサンシャイン水族館だった.しかしこの水族館は私の住所からだと比較的簡単に行ける.だから時間の余裕がないときに訪問する先と考え,当面は行かないでおいたのである.
 学生時代,正確には学部の学生時代に,私は東池袋のアパートに住んでいた.サンシャインの近くだったのである.といってもその頃はサンシャインのビルはまだない.私が住んでいるときはサンシャインの辺りの地下の工事をしていた時である.地下の工事が長かった.私はその後,田端のアパートに引っ越した.その引っ越しの頃にサンシャインのビルがどんどん上に伸びて行ったのである.
 引っ越した田端は下町,ないし場末と呼ぶべき場所だった.が,私が住んでいた頃の東池袋辺りも場末だった.そもそも池袋自体がその頃までは場末だった.今でも覚えているが,当時,その辺りにはスーパーなどはなかった.コンビニなどという便利なものも存在しなかった.覚えている商業施設は,田舎の乾物屋のような八百屋,店の中で酒を飲ませる酒屋,大きな通りの角にあった肉屋,通りに面していた餃子屋,アパートのすぐそばのパン屋,くらいである.正月に郷里に帰らずアパートにいると,1月7日頃まで店が閉まっていて,買い物に苦労したものである.まあ,そういう世の中だった.
 Google map で私が住んでいた辺りを見ると,見覚えのある店や施設は見当たらない.確か通りに面してタクシーの会社があったと思ったが,それも見当たらない.

 本日は久しぶりにJR池袋駅で下りた.池袋の駅の地下道は,少なくともその骨格は,私が東池袋にいた頃の半世紀近く前とほとんど変わらないような気がする.昔も通ったであろう地下の店の合間を縫って外に出て,サンシャインのビルを目指して歩いた.

 カミさんはサンシャインの水族館に来たことがあるらしい.私は一度もない.サンシャインの水族館については変なことを思い出す.かつて『少年ジャンプ』に連載された『ろくでなしブルース』というコミックで,池袋の番町の葛西は主人公の前田大尊をボコってしまうのであるが,実は葛西は大尊のアッパーを顎に受けており,葛西の顎の骨にはひびが入っている.葛西はその痛みをこらえながらサンシャイン水族館の水槽の周りを歩く,という場面がある.
 本日行ってみて,それらしい水槽は見当たらなかった.カミさんによれば,リニューアルがあり,中は変わったという.
 ざっと見ると,やや面積は小さいが,抑えるべき箇所はちゃんと抑えてある感じがした.品川のアクアパークやすみだ水族館よりも正攻法の水族館であると思う.
 観ていて感じたのは,通常はアシカなどのショーをする場所は劇場のようにしてかなりの観客を収容できるようにするのであるが,この水族館ではそれほどの観客を想定しないスペースであることである.このサンシャインでいろいろアトラクションがある中の1つとして水族館がある,というコンセプトなのだ.だから,例えば茨城県大洗の水族館のように,水族館しかない所とは,そもそもの水族館としての在り方が違う.
 水族館に関しては,やはり田舎を目指すべきなのだろう.むろん,サンシャイン水族館も良い施設である.

by larghetto7 | 2018-11-12 22:18 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/11 日曜 シェイクスピア 『アテネのタイモン』
 BBCによるシェイクスピア戯曲シリーズDVDでまだ観ていない『アテネのタイモン』を観た.分類上は悲劇である.『コリオレーナス』同様,このような題名の作品がシェイクスピアにあるとは,私は事前には知らなかった.
 これは面白い.主人公タイモンを演じるJonathan Pryce の独り舞台のような感がある.DVDの時間が2時間ちょっとで,同シリーズの中では最も短い部類だろう.
 ストーリーは単純で寓話のようだ.アテネにタイモンという貴族がいる.タイモンは自分の財産を他の人たちに惜しみなく施す.だから人が寄って来る.タイモンは常々,「貧乏になりたい.そうすれば皆さんの友情が確かめられる」という.実は忠実な執事フレヴィアスは破産が避けられないことをタイモンに何度も忠告しようとし,哲学者アペマンタスはお人好しにもほどがあるといって何度も箴言する.しかしタイモンは聞き入れないのである.
 そのタイモンはじきに破産する.そこで友人(と思っていた人)に金を借りようとするのであるが,誰からも断られてしまう.そのことに失望して怒り狂い,人間不信に陥り,アテネ城外の海岸近くの穴ぐらで暮らし始め,人を呪いながら死んでしまう,という筋である.
 たとえていうなら,嵐の中で人を呪うリア王がそのまま死んでしまうような筋である.だからストーリーはやや短い.
 芝居としての見どころは,人に施している時点では人々の善意を信じ,気前よく分け与えているのに,友人が誰も助けてくれないと知ると極端な人間不信に陥る,その急転換ぶりだろう.借金を断った不義理の者たちを集めて侮辱する趣向が笑える.タイモンの人間不信の台詞の数々が面白い.辛辣な道化が発するような言葉がどこまでも続く.だから物語は形式上「悲劇」なのであるが,「喜劇」のように見えてしまう.
 実は,タイモンがいた穴ぐらの近くで金貨が沢山出て来る.その金貨を元手にすれば,タイモンは身上を持ち直すことができるかも知れない.しかしタイモンの人間不信は変わらない.その金貨目当てにまたも寄って来る人たちに,「さあ,この金で人を不幸にしろ」と罵って分け与えてしまうのである.

 ネタ本は『コリオレーナス』同様にプルタークの『英雄伝』であるらしい.なお,ギリシャの懐疑主義哲学者に「プリウスのタイモン」という人がいたらしく,この戯曲のストーリーはそちらのタイモンとも何がしかの関係があるそうであるが,私は詳しくは知らない.
 なお,この作品は後に少し話を加えて上演されることが多かったようで,その修正作に対してヘンリー・パーセルが「アテネのタイモン」という劇音楽を作っている.CDも出ている.それなりに流行った戯曲なのだろう.

by larghetto7 | 2018-11-11 16:59 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/08 木曜 シェイクスピア 『コリオレーナス』
 BBCによるシェイクスピア戯曲シリーズDVDのうち,『コレオレーナス』を観た.悲劇である.それほど知名度のある作品ではなく,私はこのような作品がシェイクスピアにあるとは事前には知らなかった.しかし観てみると,同シリーズの作品中,最も印象的な作品だと私には思えた.

 主人公はプルタークの『英雄伝』に出て来る人物らしく,シェイクスピアのネタ本は『英雄伝』である.作品の背景はローマが王政から共和制に移行して間もなくの頃であり,『ジュリアス・シーザー』や『アントニーとクレオパトラ』が紀元前1世紀(キリストの時代の半世紀前)頃の話であるのに対し,紀元前5世紀頃の話のように思う.登場する兵士の装備も,映画でよく見るローマ物のような鎧兜ではなく,ギリシャのスパルタの兵士のような装備である.
 筋のあらましを書くと,主人公はカイアス・マーシャスというローマ貴族で軍人である.このマーシャスが敵のヴォルスキ人の都コリオライを攻略した功によりコリオレーナスという称号を得る.ローマ元老院は軍功抜群のマーシャスを執政官に任じようとする.いったんは平民からの同意も取り付けるのであるが,マーシャスを憎む護民官(平民代表の2人)が平民を扇動してマーシャスを陥れ,ローマから追放してしまう.行き場のないマーシャスはヴォルスキを頼り,その軍勢を指揮してローマの諸都市を落としてゆく.ローマを攻撃する前にマーシャスの母親や妻,息子らがマーシャスに会いにゆき,ローマを救うように懇願する.母親の懇願に負けたマーシャスはローマ攻略を止め,講和を結ぶのである.その後,マーシャスはヴォルスキ内部で裏切り者として殺されてしまう.
 マーシャスを演じるAlan Howard はニコリともせぬ尊大で鬼神のようなマーシャスを,圧倒するような台詞回しで演じてゆく.マーシャスのヴォルスキ側の好敵手オフィディアスを,『恋の骨折り損』でくどい理屈を重々しく操ったMike Gwilymが,今度は武人として重々しい台詞回しで熱演する.だからこの作品は終始緊張感が高い.
 この作品は典型的な悲劇と思う.悲劇は,美徳のある者がその美徳故に破滅するから悲劇である.下らない奴が馬鹿なことをして破滅しても悲劇とはいわない.マーシャスは高い愛国心と軍事的才能によって認められるが,その頑なな軍人気質の故に反感を買って追放される.そして復讐を始め,いったんはローマを滅亡の淵まで追い込む.しかし母親の懇願を人間らしく受け入れることによってオフィディアスに殺されてしまうのである.
 劇中,オフィディアスが,ローマでマーシャスが追放された原因を同僚に解説する場面がある.第1は高過ぎるプライド,第2に判断力が欠如してうまくやる機会を逃がしたこと,第3にnature,つまり平時に対応できず軍指揮官然として民衆に接したこと.そのすべてではないにせよそのいくつかによって,マーシャスはローマで失敗したと分析する.この分析はおそらく,この人物に対するシェイクスピア自身の解釈なのだろう.
 ただ,マーシャスが失敗したのは単に彼の個人属性だけの問題ではなかったろう.当時の共和制ローマでは元老院に代表される貴族と平民との間に緊張関係があり,平民の代表である護民官に高い権限があったらしい.そうした政争の中で貴族派のマーシャスがはじき出されたという側面があるだろう.

 なお,ベートーヴェンの序曲コリオランのコリオランは,コレオレーナスと同じらしい.ベートーヴェンは『英雄伝』をネタ本にした友人による戯曲を見て感動し,この序曲を作ったという.

by larghetto7 | 2018-11-08 19:06 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/06 火曜 シェイクスピア 『アントニーとクレオパトラ』
 BBCのシェイクスピア戯曲のDVDシリーズの『アントニーとクレオパトラ』を県立図書館から借りてきて観てみた.この作品はシェイクスピアの古代ローマものの1つであり,『ジュリアス・シーザー』の後の話である.
 このストーリーは何度か映画になっていて,その筋は広く知られているだろう.シェイクスピアの原作に近いのはチャールトン・ヘストンがアントニーを演じた『アントニーとクレオパトラ』だろう.が,私は観ていない.私が(TVで何度か)観たのはエリザベス・テイラーがクレオパトラを演じた『クレオパトラ(1963)』の方だった.この映画の後半が『アントニーとクレオパトラ』に該当する.筋がどの程度シェイクスピアの原作に近かったかは分からない.

 という訳で,筋はあらかた分かっているので緊張感なくこのDVDを観た.この作品は『ジュリアス・シーザー』同様に,敗れた側から戦乱の様子を描いている.クレオパトラを演じたのは同シリーズでマクベス夫人の役だったJane Lapotaireという女優である.一風変わった風貌であり,エリザベス・テイラーのような美人型ではない.Jane Lapotaireはこの作品製作の頃にブロードウェイに出ていたらしく,エディット・ピアフの La vie en rose を歌う様がYoutubeで見られる.アントニー役はシャーロック・ホームズの映画でワトソンを演じたColin Blakelyである.劇中でシーザーと呼ばれるオクティヴィアスを演じたのが,『終わりよければすべてよし』でバートラム役だった『炎のランナー』のIan Charlesonである.Ian Charlesonは明晰で冷徹な若い大企業の御曹司のようであり,アントニーのColin Blakelyは中年の中小企業の親父のような感がある.
 観ながら思ったのは,最後のアレクサンドリア陥落の場面は大阪の陣で大阪城が落城する場面と似ているな,という点である.アントニーらは情勢が不利になりアレクサンドリアを包囲された後の初戦では,真田幸村よろしく奮戦して勝利を得る.が,そこから裏切りが出て来る.最後はアントニーがクレオパトラが裏切ったと思ってクレオパトラを口汚く罵る.クレオパトラは側近と霊廟に退避する.その後,霊廟に退避したクレオパトらとオクティヴィアス側でやり取りがあり,最後にクレオパトラらは毒蛇で自殺する.大阪城落城でも秀頼や淀殿は城内の籾倉に退避し,そこで徳川側とのやり取りをしたうえで爆死するのである.いかにもリアルな展開だと感じる.

 この物語では寝返りと忠義が話に花を添える.日本の戦国時代と同様だな,という気がする.アントニーは最後に死のうと思って部下に自分を殺すように命じるのであるが,部下はできないと拒否する.イロアスという部下はアントニーを殺すことを引き受けながらその場で自分を殺してしまう.主人を殺すことを拒否する場面は『ジュリアス・シーザー』にもあったので,当時のローマ人の武士道のようなものだったのだろうか? 興味深いのは,アントニーの側近のイノバーバスが,荷物を持たずに最後に裏切って敵に走るのであるが,そのイノーバ―バスにアントニーが荷物を届けさせる箇所がある.イノーバ―バスは裏切りを後悔するが,遅い.イノーバ―バスは最後の戦いの中で無駄死にすることを選ぶ.

 『ジュリアス・シーザー』にせよ『アントニーとクレオパトラ』にせよ,ローマにおいて権力が集中する過程で起こった物語なのだろう.ブルータスらは共和制の維持を目指してシーザーを暗殺した.が,共和制というのは,今日のような」民主主義ではなく,貴族合議制である.その貴族合議制が,力のある者の三頭政治に変わり,その中から抜け出たシーザーが殺されたけれども,また三頭政治に戻り,そこからオクティヴィアスが政敵を各個撃破し,最終的にはアウグストゥス(実質的には皇帝)となるのである.その最後に確固撃破されたのが,アントニーと,手を組んだクレオパトラだった,ということだろう.
 なお,アントニーはオクティヴィアスと一時手を結んだ際,アクティヴィアスの姉オクテーヴィアと結婚している.アントニーの遺児はそのオクティーヴィアによって養育されたらしい.オクティヴィアスの後の皇帝カリグラ,クラウディウス,ネロは,そのアントニーの血筋だという.

by larghetto7 | 2018-11-06 17:48 | 日記風 | Comments(0)
2018/11/02 金曜 法人化後の初代学長
法人化後の初代学長

by larghetto7 | 2018-11-02 18:13 | 日記風 | Comments(0)