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2018/03/10 土曜 アニメの『銀河鉄道の夜』を観る
『プライベート・ライアン』より前に,同じく県立図書館から借りてきたDVDで『銀河鉄道の夜』を観たのであります.登場人物が猫の姿をした,あれですね. このアニメは以前から観ないといけない,と思っていたアニメです.私の中で『銀河鉄道の夜』は重いので,「観ましたぁ」と書くことにためらいがあったのですが,今回感じたのは,この作品についてはもっと調べないといけないと思ったことで,「観ましたぁ」と書くにしても仮の話になる.だから,まあ,気軽に書こうと思った訳であります. このアニメが世に出たのは1985年なので,私が埼玉大学に勤めて間もない頃なのです.確か,先輩同僚だったドイツ文学の安達先生が,このアニメが良いとか悪いとか,どっちだったか忘れましたが,何か仰っていたと記憶しています.記憶なので,間違いもありますよ. たぶん私が,文学作品の中で好きなものを1つあげろと言われたら,『銀河鉄道の夜』をあげるでしょう.私はこの作品を,高校生のとき(水戸一高),校舎の屋上で昼休みに読んでいた,と記憶しています.孤独な私は休み時間を人と過ごすことがなく,屋上で読んでいたと思います. 屋上は,よく野球の応援の練習に駆り出された場所でした.でも,本当に当時の水戸一高の校舎に屋上があったのか? 確証はないですね.今の建物とは違うはずです.その屋上からは,近くを流れる那珂川が見えたと記憶しているけれど,記憶というのは後から作られることもあるので,確証はないですね. この作品の何が良いのかは,自分の中では整理できないですね.記憶しているのは,読みながら,空想の中で出て来る視覚的な情景が美しかった,ということです.最後の場面で,カンパネルラが川でおぼれてしまう訳ですが,その時の夜の川の情景というのは,屋上から見る那珂川のような大きな川ではなく,私の郷里の街中を流れる川でした. 文字による物語は,読めば情景を頭の中に構成する訳ですが,アニメのように画像として出してよいかどうか,という問題もありましょう.文字で読んで構成する世界では,省略があってもよいけれど,いや,そもそも頭の中ですべてが再現させる訳がない.ところが画面で出してしまうと,その省略が許されない,ぼかしてもよいから何か画像を示さないといけなくなる.そうやって画像を示してしまうことがよいのかどうか,という判断もありましょう. このアニメは,多少の例外を除いて,登場人物を猫にした.その賛否はあるようですが,仮に人間の姿でアニメに描くと,あまりにはっきりし過ぎて,私が頭の中で構成する世界と違い過ぎて来るような気がする.そういう意味で,猫にしたのは正解のような気がします. 映像としてかなり成功しているように感じます.例えば汽車の中.私が高校生だった当時,まだ水戸線では汽車が走っていて,いや電車かも知れないけれど汽車の客室車両が使われていて,アニメの中の汽車の客室は,私が体験していた汽車の客室と非常に近いですね.私のイメージの中でも,汽車はこういう風でなくてはいけない. ある場面で,船でおぼれて死んでしまう人が汽車に乗って来る.これまで気づきませんでしたが,これってタイタニック号の話だと気づきました.アニメではこの船が沈むときの情景が出る訳ですが,そういった点はアニメであることが劇的な効果を示したように思います. アニメを見ながら手元で文庫本を眺めて気が付いたことは,『銀河鉄道の夜』は改訂の過程での4つの版があって,稿が確定していなかった,ということでした.気が付かなかった.私の手元にあった文庫本も,版が混ざっていたかも知れない.稿自体が確定していないことは,『銀河鉄道の夜』を考えることを面白くする要素かも知れません.
by larghetto7
| 2018-03-10 21:31
| 日記風
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