11/06 卒論
 まだ出ていないので何ともいえない面はあるが、今年度の卒論で一番良さそうなのは某K君の卒論ではないかと思う。彼は、メッセージの効果がナンタラという社会心理学者の論文を見つけ、そのアイディアを授業のシラバスに適用する。簡単に言うと、シラバスに脅し文句のようなことが書いてあると受講者が減るだろう、という話である。もとの基本的なアイディアがどうの、と言い出すと切がないけれど、ともかく立派な論文の延長で議論する。データとして教養学部の全授業の登録者数を調べ、シラバスの記述からダミー変数を作って分析した。私がいくつか追加の独立変数を指定したけれど、基本アイディアは当人のものである。分析結果は常識的で(この種の分析はそれでよい)、現社専修の授業、教職指定などが登録者数にプラス効果であることの他に、試験・レポートの回数予告や予習を求める、楽勝科目でない、といったシラバスにおけるメッセージがマイナス効果、という結果である。それがなんだ、と言い出せば切がないけれど、一応の体裁が整い、ネタ論文を自分で見つけ、自分でデータを集め(学務係で記録し)、シラバスを調べ、統計の分析方法まで自分で調べて第1次の結果を出していた(再度の分析で実験室のSPSSを使ってもらった)。
 重要なことは技術的なことではない。技術的なことなら指導教員が教えればよい、そのための指導教員である。重要なのは、分析とは何かという漠然としたコンセプトを持っていること、ストーリーを展開できることである。今年何度も、「テーマは何がいいですか?」と聞かれたが、初手からそういわれても返答のしようがなかった。(本音では、私は学生に「これをやりなよ」といいたいけれど、いって出来る人はまずいないのですよ。)
 某旧帝大の先生からは「大学ではない」と罵倒される埼玉大学ではあるが、教員はともかく、頭の良い学生は、実は多い。ただ、具体的な形にはなかなか繋がらない。そこを繋げるようなシステムを作らないといけないように思う。 

 朝おきたのは10時頃だった。庭に出ると猫たちが食事を待っていた。今日は曇りで、起きたときには雨かと思った。やや寒い。庭のコスモスの花もだいぶ少なくなってきた。
 昨日は一日中怠けていた、というか、全て私用で使った。でも休日なんだから当たり前だよな、と思う。
 さて今日は、まず大学院説明会用の資料を作らないといけない。私がやらないと誰もやらないのですよね。私も「知らん」を決め込めば楽は出来るのですが。
by Larghetto7 | 2005-11-06 01:22 | 日記風 | Comments(3)
Commented by atachan at 2005-11-29 22:28 x
久々ブログを読ませていただきました。やっぱ笑えます&1ヶ月ぶりなのはチーコちゃんファンとしてあるまじき行為と反省しています。
でも先生が言葉を絞りながら書いている姿が浮かんできて、読み手も涙涙なんですよ。お手柔らかに!
今頃すみません。卒論に水を差すわけではありませんが、
「シラバスのメッセージ=受講生数」ってのは、1年生には当てはまっても、2年以降にはあまり当てはまらない印象を受けるのですが~。いかがなもんでしょうか?
シラバスよりも『先生及び先生の付けるの点数』に対する評判(風評・口コミ)の方が大きい。だから厳しい先生は、前期に比べ後期の方が学生数が減少するという印象が強いのですが・・・。思い込みですかね?
共通教育・専門基礎・専門に分けてみると、これが印象か否か多少は明確化するのかな?と思うのですが。
う~ん。シラバスに、学生の私的ネットワークについてワンショットのアンケートをクロス集計できるだけでも、データは客観的になると思うのですが~。
実際面での客観性の担保が難しそうなので、どんなもんなのかと聞いてみたくて興味深深でメールしてみました。ではでは~。
Commented by 高木英至 at 2005-11-30 00:44 x
 昨日(月曜)顔を合わせたからでしょうか?
 そうですね。データは教養学部のものですから、教養教育(共通教育)分の学生数は分からんのです。専門基礎と専門を変数に導入しましたが、意外に、違いがありませんでした。
 メッセージがそのまま効果と観るべきか、という疑問があることは私もいっています。厳しいこと書くから学生が来ないという面もありますが、学生が来ない授業の先生は、悔し紛れというか、「俺は厳しいゾ~」っていう傾向がある気がします。因果関係の方向は判断が難しいです。
Commented by atachan at 2005-12-06 10:16 x
お返事ありがとうございます。やっぱり昨日(月曜)に顔をお見かけしたのがきっかけなのか、今日読んでいます。(へへへ)
教養分がわからないのはすごく残念ですね。
&最後あたりのご意見は見なかったことにするとして、チーコちゃんが想像どおりの美猫でうれしい限りです。
最近、ブログ内容がさらにお疲れ気味ですので、この可愛さは救いです!
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