6月2日。その日は朝から小雨がちだった。猫に食糧をあげて回ってから玄関先でタバコを吸っていると、道路と庭を隔てる扉の辺りでやけに小さい子猫がうろついていた。道路に出るでもない、庭に入るでもない。よたよたしている。先日死んだ子猫の兄弟かと思った。近付いてみたが逃げない。拾い上げた。片方の手のひらに収まる大きさである。死にかけているのかどうか、分からない。しかし小雨の中を当てもないのに、放っておく訳にもゆくまい、と思って家に入り、カミさんに見せた。ともかく病院で診てもらおう、と話した。
タビーと白が混ざった、一番よくある猫の毛の色である。
とりあえず小さな段ボールの中に入れた。出ようとしても出られないようだった。最初に入れた段ボールは狭いので、別の段ボールも探してみた。
そうしているうちに、外でまた、ミーミーという子猫のような鳴き声が聞こえた。と思ったら、カミさんが、また別の、ちょっと大きめの、しかし同じような子猫を抱えてきた。やはり植え込みの辺りにいたという。
さあ、どうしよう、と思った。ウチは既に猫だらけであるし。しかしこのまま放っておいたら、死なせるだけではないか、と思えた。
その後で私は大学に出たが、子猫は動物病院で診てもらうようにカミさんに頼んだ。大宮駅で念のため、確認の携帯メールをカミさんに送った。
この日、大学ではさしたる用はなく、監事監査のヒアリングがある程度だった。
12時近く、今から上の娘と一緒に、子猫を動物病院に連れて行く、というメールがカミさんから届いた。
しばらくしてからカミさんから携帯メールが届いた。子猫たちは危険な状態ではないと言う。結膜炎にならないように薬をもらって来たという。子猫用の食糧ももらってきた。子猫を里子に出すなら、ポスターを貼らせてあげる、とのことだった。
病院に連れて行くと、識別のため、名前を付ける。私が最初に拾った猫はメスで、「まる」にしたという。後で拾った猫はオスだった。だから身体が大きかったのか。白い毛にところどころ黒い丸が入っていたが、頭の上の白い毛に小さい黒丸が点のようにあるので「てん」にした、という。
その日の夜、家に帰ると、カミさんと娘、息子たちが、この2匹をかわいがっている。あらためて観ると、小さい。2階にいるモモちゃんも、子猫のときに親に捨てられたのであるが、もう少し大きかったと思う。