久しぶりにネット通販で注文したインクが昨日届いた。注文したのはエルバン社(Herbin)のBlue Ocean という、1670記念とかで発売されたインクである。エルバンの創業が1670だというのだろう。うーん、J.S.バッハが生まれる少し前ですねぇ。でも室町時代創業には負けますねぇ。建築の金剛組なんて、飛鳥時代ですもんねぇ。ともかく、エルバンのインクは、瓶は格好良いのであるが、実は色は私は気に入らない。エルバンに限らず、ヨーロッパ系のインクのBlueは、赤みが強過ぎる。エルバンで Blue Blackに近いのは Bleu Nuit (Night Blue)であるが、こいつもBlueというより紫に近い。
それはそれなりに理由があるのだろう。確かに、赤みがあった方が発色は明確になる。ただ、まあこれって浮世絵の国の色彩感覚なのか、青なのに赤みがかっているというその不純な発色がどうも気に入らない。青は静謐な色である。赤みがあるとその静謐さが失われ、にやけた感じになる。その不純さが気に入らない。まあなんか、粋の構造の江戸紫と京紫のような話ですけど。
で、今度のインクはOcean Blue というので、期待した。青っぽい青で欲しいと思った。
届いて昨日、早速試してみたが、「ああ、またダメだ」と思った。やはり赤みが強く、Bleu Nuitとあまり変わらない。Bleu Nuitよりは黒味が少なく青に近いとはいえるが、目が覚めるような青とは、まったく言えない。
使えない訳でもないので、Pelikan の元祖ペリスケの1本に入れて、少し使った。本日、ある院生の書類にサインしたのは、このエルバンのBlue Ocean であります。
インクは2階の私の部屋の、インクの引出に入れていたのであるが、引出に入りきれずに、居間に持ち込んでいる。下の写真は、その、居間に持ち込んだインクである。それだけインクがあるのであるが、今はiPadの手書きを使っているせいか、実は紙に書くインクはほとんど使わないのであります。