8/31 埼大CM
 埼玉大学がケーブルテレビでCMを流すことになった、ようだ。教養学部の広報担当である私のところには、当学部の箇所で流すナレーションの原稿案の提出依頼が来ている。
 埼玉大学は法人化されたのだから、予算内でCMをするのも自由、ということなのだろう。まあ、やった方がよい。
 すごく素朴なCMになると想像します。埼玉テレビの十万石饅頭のような。「美味い、美味過ぎる、十万石饅頭」
 ただ、国立大学が規制緩和で私大と同じことができるようになると、「どうして国立大だけ、同じことをしているのに、多額の補助を受けているんだ」という話になるだろう。流れとしては民営化以外になくなるように、私は思う。
 どたなか、国立大学を国費で補助する必然性があると思う方は、理由を提案してみませんか? 私が反論してみますから。
by Larghetto7 | 2005-08-31 17:01 | 日記風 | Comments(6)
Commented by 一介の卒業生 at 2005-09-01 01:08 x
 所得水準にかかわらず国民が教育を受ける権利は、義務教育の範囲を越えて「高等」教育においても、一定程度のの機会確保という形で公的に維持されるべき。簡単に言えば、学費の安い大学がある程度は必要で、それは国費で維持すべきだ。
 てなことでいかがでしょうか?
Commented by 高木英至 at 2005-09-01 01:27 x
 よくある言い方だったのですが、その理屈は簡単に破綻します。
 一般に再分配を目的とする方法には「機関配分」と「直接的補助」があります。国立大学という機関に財源を補助することによって貧しい人に高等教育を受けさせる機会を与えるのも1つの方法ですが(機関配分)、貧しい人に高等教育を受ける機会を補償するなら、機関配分をする財源を直接的補助に回した方が確実なのです。要するに、貧乏学生に多くの奨学金を与えて高い学費を払えるようにすればよい。機関配分をした場合、例えば東大のように金持ち学生が多いのに学費が安い、ってなことがおこる。つまり再分配のバケツに大きな穴が開いていて、再分配にならず、貧乏人が払った税金で金持ちを援助することになりかねない。
 金融システムが健全なら(つまり査定能力があれば)、貧乏学生は金融機関からお金を借りればよいのですから、実は奨学金制度も要らないのですよね。
Commented by clarinet at 2005-09-01 23:44 x
東大みたいな有名大学に入れないけれども、お金がないので国立に入るしかない私のような学生を救うためでしょうか?
Commented by 高木英至 at 2005-09-02 00:40 x
 明治当初に帝大を作ったのは、国家・社会の発展に資する人材を確保するため、ということなんでしょうね。当時としては成功。大学を創れるだけのアクターは、そのときは日本には国家しかなかった。
 埼玉大学は戦後の新制大学ですから、どういうつもりで出現したのか、よく分かりません。
 国立大に配分する財源を奨学金に回せ、というのは、以前から経済学者がよくいう考えです。1つには消費者主権の問題がある。今の学生さんはお客さんとして遇されていないでしょ。要するに国立大にとって、学生は国から財源をもらって管理を任された対象に過ぎなかったんですよ。それを、大学は国からではなく学生からお金をもらうようにする、という構造に変える、必然的に学生の需要に応じた大学に、ということです。
 私大を見ていると、学生が金を払ってもお客として遇されるともいえませんね。これってたぶん、大学を移動するチャンスが事実上ないから、入学するまではお客さん、入ってしまったらこっちのもんよ、ってなことでしょうね。大学間で移動できるシステムを作らないといけないですね。
Commented by 一介の卒業生 at 2005-09-02 01:32 x
 高木先生、丁寧なご返事ありがとうございます。わっ、スタイルがすっかり変わってるじゃないですか!
 サクっと論破されちゃいましたね。奨学金を貧乏学生に直接渡したほうが効率的であるとは、そのとおりなんですよね。上のコメントの趣旨からみれば、援助を受けうる貧乏学生の人数(件数)をこそ公的に確保すべきなのであって、大学(学部・学科の)設置数はそのための手段、二次的なものに過ぎません。「機会の確保」と書いたのは、現実の施策は有限であって、「全ての人」にいいようにはできない、というくらいの含意です。ごく当たり前のことですけど。
Commented by Larghetto7 at 2005-09-02 01:59
もう一つのよくあるパタンは、「国立大は研究成果を出している。国立大学を潰せば日本の研究状況が悪くなる。」という言い方です。今でもこの手のビラが回ってきます。
 これも反論は簡単で、国立大に機関配分するんじゃなくて、研究テーマに研究予算を配分すればよいでしょ、ってことです(審査体制がしっかりしていればの話ですが)。私大でも良い研究をしてますから。実際、方向としては既にその方向で動いています。それに、私が私大の理事だったら次のようにいうでしょう:国立大が研究成果があるのは、あれだけ補助されているから当たり前でんがな。ウチにくれればもっとやりますわ。
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