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7/30 朝 SD conference@Krakowについて
横になったら眠り込んでいた。目が覚めたら、ミュンヘンの時間で朝の6時だった。街は活動を始めている。
ここでやらないといけない大学の仕事(4年生の卒論のこと、8月1日の入門の試験のこと)があるけれど、どうも手につかない。ちょうど私が大学にいると、今回の conference の報告のための研究がなかなか手につかなかったのと同じである。一定の環境にあると「その仕事をする」頭にならないのである、という自己弁護。 今回の SD conference@Krakow での中心テーマは期せずして? punishment だった。北大のグループもそうだし、ヨーロッパ(オランダ)、イスラエル、スウェーデンのグループも、punishment シフトをしていたように感じる。そういえば私の報告も punishment だったけれど、こいつは偶然。なぜこうなるか? たぶんこのテーマで人が注目してくれそうなときに、みんな揃ってやる、ということなんだろう。合理的であるとととに、ちょっとポリティックスっぽいところがありますよね。 ポーランドだと、A.Nowak(進化の方でない人)など、シミュレーション系の人がいるので、その辺がどう出るかと思っていた。ところがこの辺の報告はなく、A.Nowak も来なかった。この点は残念なところです。ここでやっても仕方ない、ということかも知れない。唯一、A.Nowak のお弟子さんのような人がポスターを出していたけれど、このポスターだけではよく分からない。交渉過程のメンタルなメカニズムを Neural Net で表せる、その共有化された思考(Neural Netのモデル)ができるんですよ、という結論なのだけれど、どのようにしてできるのかは、質問しても分からなかった。Negotiation Jourtnal とかの雑誌に論文があるのだという。 そういえば杉浦さんのネタに近い話を、オランダの若い人がポスターでやっていましたな。Ssを Social Value Orientation(このトピックは相変わらず多かった)で Prosocial と Proself に分けたとして、確か、協力への説得が効くのは Prosocial のSsで、その場合、CCのセルとDDのセルの両方に言及するときに(だけ)効果がある、という結果でした。この人、帰りのタクシーで一緒になりましたが、practical application は今は考えていないようです。 こちらに来て良かったのは、慢性的な睡眠不足がある程度解消したことです。この何ヶ月か、平均睡眠時間は3、4時間/日だったと思います、雑用で!! ついでに、下の写真はバイエルン博物館で見た、沢山あったマリア像の1つ。正確な時期は忘れましたが、確かルネサンス期です。西洋の彫像は、ギリシャ・ローマ時代には精妙を極めているのに、中世になるとほんと、不細工なんですね(それはそれで良い所はあるんですが)。そこが面白いところで、例えば12世紀というと日本では運慶、快慶辺りがいて(たぶんその頃だったと思うのですが)、水準の高い仏教美術を出現させていた。それとは、西洋中世の彫像は比べるべくもない。しかしルネッサンス期に入るとほんと、急にギリシャ・ローマに戻る感じがあります。マリア像にしても、12、3世紀のものは(ルーブルで見ても同じですが)、非常に素朴な彫像で、マリアも Great mother ってな感じです。この写真の時期まで来ると、着物の表現、顔の表情、姿勢など、格段にルネッサンス的ですよね。単に'Maria'と書いてあったから、あのマリアだろうと思いますけど。
by Larghetto7
| 2005-07-30 14:15
| 日記風
|
Comments(8)
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はやし
at 2005-07-31 08:59
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webでプログラムを見ましたが、確かにpunishment関連が多いですね。アブストラクトまで見ていませんが。
昨年、一昨年と学生の卒論でpunishment関連の実験をしたんですが、punishしないんですよねぇ、ほとんど。おおらかなんです。結果のパターンはサンプルによってかなり違うんじゃないかと思います。
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たかぎ
at 2005-07-31 17:02
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そこんところは、私の立場からすると、「なぜ実験するのか?」という問題なんだと思うのです。人間被験者は一定の社会的/文化的な行動様式の中にいて、実験した場合に現れるのは、その行動様式に過ぎないのではないか?ということ。我々の場合、「自分で punish する」必要がある社会構造の中には生きていませんから、自分ではやらないんじゃないでしょうか? シミュレーションに固有の意味があるのは、そういう「存在問題」についてであろう、というのは、前からの話です。
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はやし
at 2005-07-31 21:00
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よくわかります。私の場合は、調査に走っているわけですが。
どうやったら「社会的・文化的」な部分と心理・行動傾向の関連が見られるのか、ということですね。 以前の「結局全部やらないとだめ」の話ですけれど。
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はやし
at 2005-07-31 21:17
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「必要がないから」というより、「裏切っちゃう気持ちも良くわかるし、しょうがないやん」っていう感じなんですけどね。質問紙データを見ていると。
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たかぎ
at 2005-08-01 01:06
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「しょうがないやん」というのは、要するにインセンティヴが低いんでしょうね。命がかかったらそんなにクールにはならない。
インセンティヴが低いと、逆に面白がって科罰に走る、ということもありそうに思いますが。
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はやし
at 2005-08-01 01:44
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まあ、一番単純な言い方をすればそうなんですが、結局、実験で何をやってるのか、ということなんですよね。一昨年の教訓で、インセンティブを変えて、昨年はよりpunishするようになりました。でも、細かい話はしませんが、もう実験の課題の意味が違うんですよね、前のとは。でもどういう課題を使うかは研究者に任されているというか、最初のを使って論文を書いても、2つ目をつかって書いてもいいわけで、そしてあたかも同じ問題を論じているように見えるという。ジレンマ実験の結果が散らかってしまうのは当然な気がします。
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たかぎ
at 2005-08-01 19:36
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うーん、半分分かりますが、不明にして半分分からなくなりました。林さんもpunishment でなさっていたんですね、すごいなぁ。で、実験の意味はどう違ってしまったんでしょうか? 前の方の実験は単に、操作が不十分だっただけ(と解釈すれば自動的にボツ)、とも見えますが。長い話になるなら無視してください。
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はやし
at 2005-08-01 23:46
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こういう場でやるには込み入りすぎなので、これで打ち止めにしますが、単に金額を上げたとかではないんですね。高木先生のおっしゃるとおり、このケースの第1実験は「失敗→ボツ」と考えるかどうかかなり微妙なケースです。しかし、本当は、この課題の性質の違いと反応の違いをも含めた形で理論的に説明できる類の問題だと思うんですね。当該のSDのもつ心理的意味の違いです。これは別にSD実験に限った話ではなくて、社会心理学的研究における測定全般の問題ですけどね。
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